ドルバリュー平均法やバリューアベレージングと呼ばれている投資手法があります。私は以前
「変則型ドル・コスト平均法」の利用についてという記事を書いた際に、猿信者さんにコメントを頂いた際に知りました。この
バリューアベレージング法について考えます。
1. バリューアベレージング法とは
ドル・コスト平均法に似た、積立投資の手法の1つです。
通常のドル・コスト平均法では、投資額を一定にして積立投資をするのですが、バリューアベレージング法ではリスク資産額が一定となるように積立てる事で、ドル・コスト平均法よりも逆張りの性質を強く持たせます。
2. 日経平均株価を用いたバックテスト
2-1. 比較方法
ドル・コスト平均法とバリューアベレージング法とを比較するために、日経平均株価で積み立てた際の投資額および資産額推移を計算します。
年1回、年の始値で積立を行った場合を比較します。ドル・コスト平均法では年10万円、3年間で30万円を積立てます。
一方でバリューアベレージング法では、リスク資産が3年間で20万円だけ増えるように、買付金額を調整し、必要ならば利確をする事で投資用キャッシュを確保する事を繰り返します。
2-2. 比較結果(推移比較)
※クリックで拡大します。緑:
日経平均株価の年間の始値です。この基準価額で積み立てます
水色:
ドル・コスト平均法での累積立金額です。毎年一定額ずつ増えます。
青:
ドル・コスト平均法でのリスク資産総額の推移です。
赤:
バリューアベレージング法でのリスク資産総額の推移です。バリューアベレージング法では、リスク資産額が一定となるように、投資額(積立額)を調整します。
オレンジ:
バリューアベレージング法でのリスク資産への実質的な積立金額推移です。
2-3 比較結果(2014年1月時点でのリターン比較)
2014年1月には、各手法は下表のとおりのリターンになります。
DC平均法はドル・コスト平均法の略で、VA法はバリューアベレージング法の略です。

今回の比較では、バリューアベレージング法によるリターン(155%)がドル・コスト平均法によるリターン(14%)を圧倒する結果になりました。
3. 所感・まとめ
バリューアベレージング法は、リスク資産が目減りした際に多くのキャッシュを投入し、利益が出た時に積極的に利益確定を行う逆張性向が強い投資手法です。日本の低インフレのレンジ相場では強い威力を発揮してきた事が分かりました。
また、ドル・コスト平均法では長い間、資産額が投資額を下回っている一方で、バリューアベレージング法は大抵の時点で資産額が投資額を上回っている点が、推移のグラフから読み取れる事も興味深く思います。
バリューアベレージング法の問題点として、「逆張したい時に投資用キャッシュがショートする可能性」が考えられますが、今回の検証で使用したパラメータ「投資額の2/3をリスク資産目標額に設定」では、資金がショートする事はありませんでした。
このことから、日本人投資家の内、もともと多くのキャッシュポジションを持つ事を志向する投資家には、バリューアベレージング法は相性が良い投資手法だと考えられます。
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