ハイリスク・ハイリターンな金融商品で運用していると、資産が大きく目減りする事があります。例えば、リスクが20%、リターンが5%程度だと言われている金融商品を運用した際、1年で評価額が -15% となってしまう事は、ザラにありますよね。
そんな時、「ハイリスク商品には複利もクソも無い」と感じます。実際のところリスク資産の価値は複利的に増えるものなのでしょうか?
私は「リスク資産の内、少なくとも株価指数は複利的に増えると考えて良い」と思っています。下のグラフを元に、その論拠・考察を紹介します。
1.ダウ30 「線形チャート」と「対数チャート」との比較

株価指数「ダウ工業株30種平均」の長期チャートです(※1)。
青が通常(線形)表示、赤が対数表示となります。
2.単利で増える増え方と、複利で増える増え方について
2-1 ) 単利で増える場合
リスク資産が年 r[%] の単利で増える場合、n[年間]で、a[円] の元本は、
a×(1+nr/100) [円]
となります。
これは、横軸に運用年数、縦軸に資産額なる「線形グラフ」に記入した際、直線になります。
2-2 ) 複利で増える場合
リスク資産が年 r[%] の複利で増える場合、n[年間]で、a[円] の元本は、
a×(1+r/100)^n [円]
となります。
対数を取ると
(ln a )+ n ln(1+r/100)
ですから、横軸に運用年数、縦軸に資産額なる「対数グラフ」に記入した際、直線になります。
3. リスク資産は単利で増えるか・複利で増えるか
3-1 ) ダウ30平均株価
ダウ30に関しては、線形グラフと対数グラフを比較したとき、上記グラフの通り対数グラフの方が直線っぽいです。したがって、ダウ30種平均株価は、複利的に増えてきた事が伺えます。
3-2 ) 他の株価指数チャートでは
例えば、日本株の長期チャートも「対数グラフ」が概ね直線になっています(※2)。したがって、日本株も複利的に増えてきた事が伺えます。
同様に、株価指数は長期的には複利的に増える事が予想されます。
リスク資産の内、株価指数は複利的に増えると考えて良いのではないでしょうか?
4. 「なぜ株価指数は複利的に増えるのか」についての解釈
4-1 ) インフレ率が一定となるような政策が採られているから
多くの国では、インフレ率が一定となるような政策が採られます。インフレとは、「お金の価値が下がり、相対的にものの価値が上がって見える」事ですので、インフレ率が一定であれば、株価指数も一定比率で上がって見える事になります。
「一定比率で増える」事は、言い換えると「複利的に増える」です。
4-2 ) 企業の成長特性から
資本主義経済の中で企業は基本的に、経済活動で得られた利益を元に、より多くの利益を得る事を目指します。規模が大きくなればなるほど、大きな利益が得られ、大きな成長ができるようになります。
この成長力の加速が、株価の複利的増加につながるはずです。
5. 結論・参照
5-1 ) 結論
「リスク資産の内、少なくとも株価指数は複利的に増えると考えて良い」
5-2 ) 参照
※1
「パフォーマンスは対数グラフで見るべし」吊られた男の投資ブログ (一般人の投資生活) (リンク最終確認:2012/8/28)
※2
「130年間の超長期株価チャートから分かること」The Capital Tribune Japan (リンク最終確認:2012/8/28)