値動きの相関係数によって、ポートフォリオに銘柄組み入れをした方が良い場合と、組み入れない方が良い場合とがあります。
これについて、実際に組み入れ比率や相関係数を動かしてみて、考えてみます。
1.設定「2資産ポートフォリオ」(銘柄Aと銘柄B)
簡単のため、2つの金融商品A, Bを考えます。値動きは
A:
リスク 0.20
リターン 0.30
B:
リスク 0.30
リターン 0.05
なる正規分布に従うとします。
※一般的にはリスクが高くなるとリターンも高くなる傾向がありますが、今回はBの方がハイリスクローリターンという設定で考察を進めます。
2. 銘柄分散に意味がない場合
A, Bの値動きの相関係数が0.7である場合の事を考えます。この時、A, Bの組み入れ比率とそれぞれのポートフォリオのリスク・リターンは下表のようになります。
※クリックで拡大します。Aだけの場合、リスク 0.20、リターン 0.30なのですが、Bを組み入れた場合、Bの比率を上げれば上げるほど、リスクは大きくなり、リターンは小さくなります。これはA, Bの2銘柄に分散投資をする理論上のメリットはなく、Aだけを持っている方が良い事を意味しています。
2つの金融商品の値動きが異なる(相関係数が1ではない)からといって、その2資産に分散投資をした方が良いとは限らない事が分かります。闇雲に分散投資をするのではなく、その金融商品を保有する意義・メリットを考えた上で、投資する事を心がけたいものです。
3. 分散投資をした方が良いパターン
次にA, Bの値動きの相関係数が-0.7である場合の事を考えます。この時、A, Bの組み入れ比率とそれぞれのポートフォリオのリスク・リターンは下表のようになります。
※クリックで拡大します。今回の場合は、先ほどと異なり、Bを組み入れる事によって、より有利なリスク・リターンの組み合わせが実現します。
たとえば、A:65% B:35% の比率でポートフォリオを持てば、Aだけの時の半分以下のリスクで、3分の2以上のリターンを得られます。これは長期保有時の資産の期待成長率を高くするために効果的です。
(今回のBのように、)
ある金融商品のリターンが小さいからと言って、ポートフォリオに組み入れる価値が無いとは限らない事が分かります。ポートフォリオの構築には、組み入れ銘柄のリターンのみに注目するのではなく、その組み入れ効果を吟味した上で、効果的に銘柄組入れをしていきたいものです。
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