利子の利子、または利益の利益を複利と呼び、この複利によって単利の場合と比べて運用資産が大きく増える「複利効果」が語られる事は多いです。
この複利効果が重要となる場合・そうでない場合について考えてみます。
1. 簡単な想定による計算
年利 r で n 年間運用すると、元本は(1 + r )^n 倍となります。
展開すれば
^n = 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2+\frac{n(n-1)(n-2)}{6}r^3+ \cdot\cdot\cdot )
と続きますが、 r が小さい時は、元本と単利部分を除いた第3項の
}{2} r^2)
が複利効果として一番大きく寄与します。
複利効果は運用年数 n の2乗と利回り r の2乗に概ね比例する事が分かります。nやrが大きい時に、複利効果は無視できない量になってきます。(nやrが極端に大きければ、第4項以降の寄与も無視できなくなります。)
2. 複利効果を投資判断の材料にする事は普通は「無い」
そうは言いましても、複利効果を気にする場面は滅多にないと考えられます。
低金利の日本で円建て資産運用をする場合は複利効果(利益の利益)は小さく、単利(利益)の方が大きく寄与します。利益が小さければ、利益の利益はもっと小さいわけです。
例えば年利2%で10年間の複利運用すれば、資産は1. 219倍になりますが、このうち1が元本、0. 2が単利部分です。そして、わずか0.018が上記第3項の複利部分です。さらに残りの0.001は利益の利益のそのまた利益等です。
これに加えて、現実的には10年もすればリバランスや金融商品の乗り換えを行いますので、ますます複利効果が「どうでも良く」なってきます。
3. 複利効果よりも他の効果を気にする
このように考えますと、普通は複利効果が得られるか否かを投資判断に組み入れる事は滅多に無いと思います。最近投信クラスタで良く引用される「複利は誤差みたいなものなので気にしない♪」という考え方は、別に変だとは思いません。
事実、複利効果の程度が小さければ、アセットアロケーションや運用方針、延いては投資信託の運用コストをチェックする方が遥かに効率的です。
まあ、そうは言いましても、「複利効果を実感できるほどの高い利回り」は是非とも目指したいものですがね。