信託報酬の低さに注目し、無配オープン投信から、分配ありのETFに乗り換える「リレー投資」という投資手法があります。ですが、信託報酬が低ければリターンが良いとは限りません。
リレー投資で、逆にランニングコストが上がってしまう場合について考えます。
以下、分配方針の違いと、配当課税に注目したお話をします。
(売買コスト、および売買益に掛かる課税や保管費用等は、今回は考えません。)
2-1 設定無配オープン投信「ファンドA」の信託報酬を c(A) とおきます。
分配有ETF「ファンドB」の
i) 信託報酬を c(B)
ii) 分配利回りを b(B)
とします。
ファンドBとファンドAの投資対象は同じとします。
また、分配金にかかる税率を d
とします。
2-2 ランニングコストこの時、課税を考慮したランニングコストは
ファンドA c(A)
ファンドB c(B) + b(B)×d
となります。分配有ETFは、分配金にかかる税金の分だけ、余計にコストがかかります。
リレー投資でランニングコストが下がるためには、
c(A) > c(B) + b(B)×d ・・・(2-1)
である事が必要です。
従って、たとえ信託報酬が c(A) > c(B) であっても、分配金にかかる税金が大きい場合、リレー投資は成功しない事が分かります。
2-3 具体例例えば信託報酬が年率 0.4% の無配ファンドと、
信託報酬が年率 0.1% の配当有ファンド、
配当有ファンドの配当利回りが 年 2% 、税率が 20% とすると、
無配ファンドのランニングコスト 年 0.4%
分配有ETFのランニングコスト 年 0.1% + 2%×20% = 0.5%
と計算できます。
信託報酬が低くても、分配金に課税される事も考慮した場合、リレー投資で不利になる場合がある事が分かりました。
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