通常のドル・コスト平均法では、「毎月、同じ金額だけ投資(投入)する」事になります。一方でこのシステムを加工して、「含み益がある月は少なめの金額を、含み損がある月は多めの金額を投資する」というシステムを考える事ができます。
このシステムを「変則型ドル・コスト平均法」と呼び、これを吟味してみます。
1. 変則型ドル・コスト平均法のバックテスト
1-1. 日経平均株価を用いたテストと、その方法
1984年1月から、2013年7月までの355ヶ月間の、日経平均株価の
「月末の終値データ(ただし2013年7月は、7月3日終値データ)※1 」を使います。これを積立をした場合どうなっていたのかを考えます。
①毎月30,000円を積立てる(通常のドル・コスト平均法)
②含み益→10,000円のみ積立。 含み損→50,000円の積立。(変則型ドル・コスト平均法)
※1 誤植訂正(2013/7/7) 【誤】月初の終値データ→【正】月末の終値データ・・・1-2. 結果

今回の場合は、変則型が16.6%のリターンを上げ、通常のドル・コスト平均法のリターン(-1.9%)を大きく上回る結果となりました。
変則型は、「含み損の期間≒株価が低めの期間」に、多くの資金を投入するために、下図の通り平均取得価額が下がりやすくなり、リターン(率)および勝率が高くなります。
※クリックで拡大します。2. 変則型ドル・コスト平均法のメリット・デメリット
通常のドル・コスト平均法と比較した時の、変則型のメリット・デメリットをまとめます。
2-1. メリット
平均取得価額を下げられるため、
①リターン(率)が高くなる。
②勝率が高くなる。
2-2. デメリット
①投入金額が変則的となり、安定しない。
②含み益のある期間の投入金額が小さくなるため、更に株価が上昇した際に機会損失を被る。
3. 変則型ドル・コスト平均法のチューニングパラメータ
変則型ドル・コスト平均法は上記の通り、メリット・デメリットがあります。投資家それぞれのリスク許容度や投資哲学に合うように、下記のパラメータをうまく調整して使うのも良いかもしれません。
①含み益時の積立金額→小さいほど勝率が上がり、逆張型の投資になります
②含み損時の積立金額→大きいほど勝率が上がり、逆張型の投資になります
③’追加システム 〇〇%以上の損失時は、積立額を××円増額→平均取得価額が下がりやすくなり、勝率が上がります。
4. 私自身はどういうパラメータを使っているか
私は、2013年7月現在、
①含み益時→30,000円の積立
②含み損時→50,000円の積立
というパラメータを採用しています。
あまり金額に差がありませんので、通常のドル・コスト平均法にかなり近いです。ですが、逆張のための低リスク資産が多めのアセット・アロケーションで運用している兼ね合いや、運用規模はある程度大きくしていきたい事、等があり、この金額に適当に決めています。
運用規模がある程度大きくなった段階で、積立金額の変更が必要だと考えていますが、現状はこの値でやっていきます。
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