リスク資産をドル・コスト平均法で積み立てた場合、徐々に資産の変動額が大きくなります。
これがどのように大きくなるのか、そしてそれに対してどうするかについて考えます。
1. 日経平均株価を積み立てた場合の資産額推移
リスク増加の程度を探るために、1984年1月から2013年6月までの、日経平均株価(下図青線)の値動きを使いシミュレーションしてみます。
月々10,000円ずつ積み立てますと運用総額は、下図赤線のように時間変化します。
※クリックで拡大します。積み立て期間が長くなるチャート右側に行けば行くほど、運用総額の変化額は、日経平均株価と比べて大きくなっていると分かります。
2. 運用総額の日経平均株価に対する感応度
「感応度」を「運用総額の変化額÷日経平均株価変化額」で定義します。その時間変化を追ってみますと、下図になります。
※クリックで拡大します。感応度は、概ね積立期間に比例して大きくなっている事が読み取れます。例えば「積立期間が2倍≒感応度2倍≒資産変動額2倍」となるわけです。
別の表現では、例えば「現在積立投資5年目の投資家は、同じ手法で25年間積立投資を継続すると、最後(積立投資30年目)は、5年目時点と比べて、30÷5=6倍の資産変動に耐えなければならなくなる」となります。
3. どうするか
このように、何も考えずに積立投資を継続すると、いつの間にか資産変動額が大きくなる(リスク大となる)と分かりました。それに対してどうするべきでしょうか。
リスクを減らすには、
①アセットアロケーションを保守的な設計にする
②積立額を徐々に減らす
などの対応が考えられます。
一方でこの対応は、保守的なアセットクラスへ資産が集中してしまうため、分散投資の視点では望ましくないかも知れません。
悩ましいものですね。
4. 余談
上記感応度は、「概ね積立期間に比例して大きくなる」と書きました。ですが、数式上は、「積立時の投資対象の金融商品の価額の逆数」の和に比例します。
このため、この時期の日経平均株価のように、あまり右肩上がりではない資産に対しては、「概ね積立期間に比例して感応度は大きくなる」という表現が適用できました。その一方で、右肩上がり資産の感応度の時間変化の概形は、1次関数とは異なるものになります。
- 関連記事
-