お盆に帰省した際、実家に置いてある「ウォール街のランダム・ウォーカー(第9版)」を見つけました。折角なので読み返しました。2読目になります。感想をいくつか書きます。
1. 概略:「ウォール街のランダム・ウォーカー」とは
名著として名高い、米国の古典的投資教本です。主に長期投資(特に株式運用)に関係する事柄が包括的にまとめられた一冊になります。
結論は「インデックス投資をしましょう」なのですが、その結論に至るまでに実にさまざまな投資手法が紹介されているため、資産運用の知識を一通り修得するのに便利な一冊です。
2. 感想
2-1. アカデミックです
著者のマルキール氏は学者でもあるため、学術論文になっているような事もこの本では多く言及されています。学術論文レベルの事でも分かりやすく書かれている所が、ありがたいです。
2-2. 2読目は読んでも疲れませんでした
1読目は疲れました。接続詞を多用し論理的にガチガチしているため、きっちりと読んでいくのが大変だったのだと思います。2読目は、(一度読んだ文ですので、)すんなりと頭に入ってきました。
2-3. ごまかしている所もあります
これは1読目でも思った事なのですが、「この手法の手数料を考慮した後のリターンは、インデックス投信よりも小さかった。」のような表現が沢山あります。
インデックス投資を推薦する本ですから、このような表現になってしまうのだと思います。どれだけ手数料をとっているのか不明ですが、手数料控除前リターンはその手法の方が良い事が示唆されていて、とにかく歯切れが悪いですね。
2-4. 今読むと感慨深い箇所が多くあります
私が読んだ第9版は、2007年に出版されたものです。「恐慌・金融危機が起き場合について」のお話が書かれていますが、この本は「リーマン・ショック」が起こる前に書かれた本です。「もしもGMが経営破綻したら」というお話が書かれていますが、この本はGMが経営破綻する前に書かれた本です。
先見性・予言性もそうですが、企業や経済の栄枯盛衰をよく表している事そのものが、素晴らしい本だなと気付きました。
2-5. 日本で成り立たない事も多そう
この本は、米国で米ドルベースで運用する米国人の読者を想定して書かれています。日本で円ベース運用する日本人には直接は適用できない事も多く書かれていると思いました。
おすすめの一冊です。
投資初心者に「投資教本教えて」と聞かれたら、まずはこの一冊を薦めるようにしています。
↓ 私が読んだのは第9版です。
- 関連記事
-