物価が上がり、通貨の価値が下がる経済現象である「インフレ(inflation)」および、この現象が起こった際の資産運用への影響をまとめます。
1. インフレとは
インフレは、モノやサービスの価格が上昇する現象です。買えていたものが買えなくなる事から、物価が上がるのではなく、通貨の価値が下がると考える事もできます。
インフレは、需給要因(モノの需要が供給を上回る時、物価が上昇)や、貨幣の供給量要因(中央銀行がお札を大量に刷った際に通貨の価値が下がる)によって引き起こされます。
インフレ下では、金利が高くなる事が知られています。
2.インフレのアセットクラスへの影響
2-1. 現金・預貯金への影響
インフレでは紙幣・貨幣の価値が下がるため、タンス預金などの利子がつかない運用では、資産規模を縮小させてしまいます。
ただし、インフレは預貯金の金利を上昇させるため、銀行に普通預金として預ければ、インフレの度合いが大きくなった際に、リターンが大きくなると言われています。
一方で、長期の定期預金や、ハイパーインフレ下では、利子が付くより早く通貨価値が毀損するために、他の資産での運用と比べて不利になります。
2-2.債券への影響
大抵の債券は固定金利であるため、インフレ(金利上昇)局面では金融商品としての魅力が薄れるため、債券のパフォーマンスは悪くなります。
個人向け国債(変動10年)や物価連動債など、インフレに強い債券もあります。
2-3.株式への影響
インフレによる金利上昇は、将来にわたるキャッシュフローの割引現在価値は下がるため、大きなインフレ下では株式パフォーマンスは悪くなると言われています。
他方で、インフレにより企業の資産や利益額の名目値が上がる場合は、株価は上昇します。株式は、「穏やか」かつ「予測可能」なインフレ下で、良いパフォーマンスを示します。
2-4.不動産への影響
インフレ下では不動産価値が上がり、キャッシュフローも増える事が見込まれるため、インフレ下では不動産は良いパフォーマンスを示します。
3. インフレ・デフレへの対策
以上のように、インフレは各アセットへ異なる影響を与えます。インフレの逆の経済現象「デフレ」では上記の逆の事が起こります。
①インフレ・デフレにより、著しく資産を減らさないために、各クラスへの分散投資を心がける
②インフレ・デフレの動向が予測できるならば、有利なアセットクラスを多く保持する
など、対策を考える事は大切です。
4. 所感
こうして各資産クラスを眺めてみると、預貯金はインフレでもデフレでも無難であると分かります。預貯金は資産運用においては大切な要素であると実感しました。
また、アセットアロケーションがコンスタントミックス(常に一定の比率)を志向する必要はなく、大きな経済構造の変化に対応できるだけの柔軟性を持っている事も、大切だと考えました。
5. 参照
インフレーション(wikipedia)インフレーションについて載っています。インフレの分類(原因や程度)や歴史など、詳細を閲覧する事ができます。
Inflation’s Effect on Asset Classes(Financial Education)インフレの各アセットクラスへの影響が簡潔にまとめられています。
インフレに強い資産運用・投資のまとめ(Money Magazine)国内(日本国)で起こりうるインフレと、その対策についてまとめられています。インフレ対策としての結論は「基本的に外国資産を持つ」です。詳しく書かれているため、おすすめ記事です。
6. 記事の改訂履歴
2013年12月28日 初回投稿
2014年11月23日 編集・再投稿
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