ルールや規約の範囲とシンプルさについてのお話です。シンプルで抽象的なものほど、強いというお話がありますが、その理由について考えてみます。
1. ルールの比較(例題)
例として、2つのルールを比べます。
①軍隊を持ってはならない
②戦争のための、軍隊を持ってはならない
ルールのシンプルさの比較:①の方がシンプルです。
②は「戦争のための」という条件が入っている分、複雑な構造をしています。
ルールの強さの比較:①のルールでは軍隊は持てません。
②のルールでは、戦争以外の目的での軍隊の保持を否定できておらず、自衛のための軍隊の保持はルール違反ではないと主張する余地があります。
2. なぜルールはシンプルなものほど制約が強くなるか?
上記の例では、シンプルな①のルールの方が制約が強くなっています。一般的に、ルールはシンプルで抽象的なものほど制約が強くなります。
抽象的なものほど、守備範囲が広くなるからです。他方で条件が複雑に付けばつくほど具体的になりますが、そうなるにつれて守備範囲が狭くなり、拡大解釈の余地や、洩れ・抜けが出てくる可能性が高くなってきます。
3. この性質をどこで生かすか?
ルールを作る立場:規定や要項を作る立場であれば、シンプルさと抽象度の高低を意識すると、思い通りの運用を行う一助になるはずです。
ルールを見る・読む立場:投資家としては、企業理念や運用方針などのルールを抽象度と守備範囲の視点で眺めてみるのは面白いものです。
ルールを守る立場:具体的なルール程、抜け道が多くあります。ルールの条件下で自己の自由と利益を最大化するために、ルールの論理構造を良く見てみるのも良いと思います。
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